カバンを取り棗兄が待つ校門へと急ぐ。




棗兄を見つけるとあっちも私を見つけたのか朝の怒鳴りとは違ってニコッとしていた。




でも、その笑顔が逆に怖い……。




「しゅーらーっ!!」




「ヒィィイイ!!」




ほらね。
棗兄は小さい頃から怒った後の笑みはいつも怖かったから。




「あのですね、棗兄。
朝は本当にすみませんでした。」




こういう時は素直に謝るに限る!




「……次、黙って家を出てみろ。
家の柱に括りつけるからな。」




「………」




「返事は?」




「はい。」




柱に括りつけられたらひとたまわりもない。




あ、やばい。
眩暈がしてきた。

完璧に熱が上がったな。




「ん?おい、茱良、大丈夫か?
何か顔色が悪いぞ。

っ!おい!茱良!」




棗兄が私の名前を呼んだのを最後に、私は意識を手ばなした。