「でも良かった。 茱良が無事で。」 「茱良。」 棗兄とは反対から聞こえる、優しい声。 振り向けば手を握ってくれている彼が目にはいる。 「ふかしぇ君。」 でも深瀬君は頷くだけで何も言わなかった。 そのあと広樹さんが呼んできた医者がきて術後の診察を受けた。 「話すのはまだ大変かもしれませんが大丈夫でしょう。」