あー、びっくりした。
あんなにドアップの拓海君なんて初めて見たよ。




なんか、ドキドキしてるし。




やめよ、こういう事を考えらるのは私には向いてないし。




着替えてリビングに行けば美味しそうなシチューとニコニコ顏の拓海君が待っていた。




「ごめんね、待たせちゃって。」




「全然大丈夫だよ。
さぁ、食べよっか?」




「うん!」




シチューにサラダにパン、それにデザートまで。




家事全般ができる拓海君はまるで主婦だ。




一口シチューを食べれば温かく柔らかな味が口いっぱいに広がる。




「ん〜、美味しい!」




「それは良かった。」




「これなら拓海君の結婚相手が料理ができない人でも大丈夫だね?」




そう言ってもう一口シチューを口に入れる。




ん〜、やっぱり美味しい。




「ねぇ、茱良。」




「ん?」




「……いや、なんでもないや。」




「そう?」




この無言の間は後々知る事になるなんてこの時は思っていなかった。