｢え〜っと…じゃあこの問題を…相成!!｣

ん!?私の名前!?

私は慌てて顔を上げる…

｢え〜っと……39です…｣

「よし、正解。」

ふうー。簡単な問題で良かった。
私は小さく息をはいた。

そして、また夢の中へ…





「はい。今日の授業はここまで。ちゃんと予習してくるんだぞー。」

先生がそう言い終えて皆が席を立ち始めたのに気付いた。
あー、寝てたんだった。


「梭輝ー？寝てないで部活行くよー。」

「うん。」
そう言って私はペチンと軽く自分の頬を叩いて、ほとんど睡眠状態に入っている脳を無理矢理起こした。
そして重い体を机から起こし立ち上がって、ユニフォームが入っているロッカーへ向かう。

廊下にあるロッカーから荷物を取って更衣室で着替える。

グランドにはアップをしている一年生と二年生、それから菊乃たち幅跳びの選手が見えた。


「こんにちは。」
そのとき、マネージャーで二年生の坂本逢尾依（さかもとあおい）ちゃんが話しかけて来た。

「こんにちは。今日も準備ありがとう。」

「いえいえ。これが仕事ですから。」

逢尾依ちゃんと並んで歩く。
雲ひとつない五月下旬の空は少し夏を思い出させる。

今日も夢を叶えるために走る…

私の夢、それは、走り抜くこと…
そしてトップアスリートになること…