「夏目センパイ!!」


瞳をうるうるさせながら、駆け寄ってきたのは
えっと…誰だっけ?


その子は男ウケしそうな可愛らしい顔つきを私に向けた。
頬は走ったせいか、紅潮している。

どこか守ってあげなきゃと思わせる子だ。


「センパイ。私を憶えてらっしゃいますか」

「えっと、ごめん。憶えてないや」

「そう…ですよね。ごめんなさい」


その子は丸い目を伏せた。


「1-Cの本城マナです。この間の合同の馬術の授業で、落馬しそうになった所をセンパイに助けてもらっ た…」

「あぁ、マナちゃんね」


あったけ、そんなこと… 。


「憶えててくれたんですね!マナ感激ですっ」

「あは…あはは。まぁね~」


お願いだから、あんまり感激しないで。
罪悪感が…。