「………姫乃、好きな人いるの?」



「…え?
いないけど……」



「…じゃあ、黒川のことを好きになる可能性はあるんだ。」



「えっ!?
……くっ……黒川君のことを…っ!?」




たっ、確かにそんなのわからないけど……っ




「あ、好きになれって言ってるんじゃないの。

ただ、そうなったら面白いなぁ、って。」




卵焼きを口にしながら、
楽しそうに微笑むなっち。




……あたしはそんななっちをよそに、
ファーストキスの瞬間を思い出していた。





……黒川君の唇に、

あたしの唇が重なったあの瞬間。




嘘だったんじゃないかって思うぐらい

ほんの一瞬の出来事で___……