「李乃、帰るぞ」 秋斗の声に時計を見ると6時を過ぎていた。 もうこんな時間か。 でも、早くない? 王龍にいたときは深夜の2時くらいまで溜まり場にいたけど。 「え、もう?」 「遅いと、親が心配すんだろ」 「…………そう、だね」 一般家庭の話ならね。 あたしに、親なんていない。 でも、言えなかった。 親がいて当たり前のように話すから、言い出せなかった。