「愛子さん、いらしてたんですね。
お姿が見えなかったので、体調でも優れないのかと思いました。」
前のお話がとても楽しかったので今日会えることを楽しみにしていました、と続けて偽者の笑みを浮かべる。
純粋な愛情を求めた姉とは異なり、この人は欲望の為に自分より十も年上の佐奈川社長と結婚した。
高い地位と、振りかざせる権力。持て余すほどの金。
彼女が求めたすべてを持ち合わせていた佐奈川社長は見事に女郎蜘蛛の糸に絡まった。
「話のネタなら尽きないですから、いつでも。
それにしても、
相変わらず整った容姿で羨ましいわ。」
彼女が求めるものは、美貌に変わった。



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