「こんばんは、澪亜さま。」

カクテル片手に髪の毛を弄りながら私に話しかけてきたのは、
姉と駆け落ちしたオッサンと似たような風貌の男性だ。

私はそちらに目を向けて、小さく会釈をした。
「今夜はとても良い月景色でして、よかったら。」


「申し訳ないのですが、



心に決めた方がいますので。」

私は姉とは違います、とハッキリ伝える。
姉妹だから人の好みが似ていると思っているらしい。

姉は異常者だ、と私は思っている。



人の好みにどうこう言うつもりはないけれど、同じ環境に育った姉の好みを理解できない。