「桐谷 飛沫」


キリヤ シブキ。
あっさりと告げられた名前。


珍しいイントネーションだ、と驚く。

ゴージャスではないかもしれないけれど、格好いいと思う。



決して口に出さないのは、

負けた気になるから。



スマホを見せろと言われて、仕方なく差し出す。





勝手にメアドを登録させたらしい。

お気に入りのストラップを凝視するのは何で。


返された時に呟かれたのは


「相変わらず、変な趣味。」



どこまでも失礼な男。


なのに自分が信じられない。



こんな男にlikeな感情を抱いているなんて。