彼との行為は、幻のようにも思えた。

湯船に浸かる度、肌に散りばめられた赤い花びらに真実だとわかるけれど

どうにも現実味がなかった。




“一般人は私とつりあわないの?”


私の疑問は、飲み込んだ。
母がこんな質問を望んでいない事を知っている。


今、尋ねるのは得策じゃないと思ったから。




あれから、一ヶ月が経った。