彼とお金を置いて、家に帰ってきた。


初めての朝帰りに両親は何も言わなかった。
もしかしたら怖かったのかもしれない。
問いただして、ダメだといえば。

姉のように家も何もかも放り出して消えてしまうのではないだろうかという恐怖が両親には残っているのだろう。

私も、そういう手段があることを知ってしまっている。



「ねぇ、お母さん。」
「何?」

紅茶を飲んでいた母に声を掛ける。


「・・・ううん、なんでもない。」


私には幼馴染が居る。

一般人で、幼い時以来あっていない。
住む世界が違う、とあの子から去っていった。