「あなた、私の名前を知っているの?」
白崎、というのなら知っていても可笑しくない。
いつまでもお嬢様、と呼ばれるのは好ましくない。
何だか執事と一緒にいるような気分だ。
「いや、白崎のお嬢様って事は知ってるけど。」
名前あんのか、と驚く彼。
初めて人を殴りたいと思った。
私の名前が白崎のお嬢様ならば、他の人たちも皆変な名前になってしまうだろう。
教える気は更々ないけれど。
「何、教えてくれんのか。」
「いいえ。」
何だよ、という彼の唇を奪ってみた。
今日の私はやけに寛大で、積極的だ。
それは、飲み漁ったカクテルの所為にしてみよう。



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