よく、一曲踊ろう、と言えた。 酷い腕前に苦笑が漏れる。 脚を何度も踏まれて、痛みを我慢しながら笑顔を作るのは、 馴れ馴れしいオッサンやキツイ香水のオバサンをあしらうよりも難しかった。 今までダンスに誘ってきた男は、 顔はいまいちだけど 腕前は確かに素晴らしかった。 皆、私をうまくリードする。 今夜ばかりは、リードしたのは私だった。 「いやぁ。 お前、やっぱ上手いな。」 お嬢様はそういうことも習うのか、と感嘆の溜め息を吐き出す彼。 何を言っているのだか。 そういえば、と気が付く。