元気を出して。...っていってる場合じゃなくて。」
えっ!どういうことだ。今日だって何にも変わんなかったはず、ついちょっと前まではいつもと...。僕が言いかけたところで先生が、
「おい。みんな静かにしろ!実はなぁ、この5年1組にとうとう転入生がやってきたんだ よ。」
みんなの表情が固まった。なんて言ったらいいかなっていうほど期待と不安で重い雰囲気に変わった。僕は驚きよりも先に喜びを感じた。だってようやくいつもと変わらない日々が終焉を迎えるんだ。
「入っていいよ。」
「はい。」
「こんにちは。俺の名前は斎藤B太だ。よろしく。」
女子達の騒ぐ声が耳触りなほど聞こえる。そんなにカッコいいかよ?意味不明だよ。
「質問はあるかな?」
はいはい!!!うるさい。僕はこの状況を楽しんでいるんだから...。
「じゃあ、そこのかわいい君。」
「はい。えっと、趣味ってなんですか?」
「俺の趣味は鉄道だ。今度一緒に博物館に行かないか?」
「はい!喜んで!!」
なんだよ。鉄道?そんなもののどこがいいんだよ。ああまた一緒だな。
「席はくじ引きで決める。いいか?」
「イェーイ!」
やめてくれ!ちぇっ。これなら、いっそ帰ったほうが新しい世界観を感じられるよ。
「じゃあいくぞー。123...。」
勝手にしてろ!どうせ僕には関係ないんだからな。
「B太くんの隣はA君でした!!」
「え~」
ウソだろ。こんなの...。
「よろしくな。」
「...」
最悪で最凶の出会い...。