(…お母さんから、聞いてたんだ)
ほらまたこんなところにも、あなたが生きていた証がある。
その証が、熱を幸せな日に変えてくれるんだ。
「ほら、出来たぞ」
「…ありがとう」
そう大地が差し出すのは、器に盛られた卵が沢山のお粥と匂いの立つ梅生姜スープ。
それは、あの頃と変わらないもの。
「いただきますっ」
「それ食ったらさっさと寝ろよ」
「うんっ。あ、大地も食べる?」
「…いらねーよ。そんだけの卵食ったら気持ち悪くなるっての」
呆れながらも笑う大地に溢れる笑顔。
懐かしい匂いと味、それと幸せな気持ち。
「おいしいっ」
それらについ泣きそうになったのは
私だけの、秘密