私はそれを手に席を立つと、ドアからお店へと顔を覗かせる。 「トラー…?」 「?あぁ、起きたか」 「うん。ごめん、寝てた。上着ありがとう」 丁度そこにいたトラは厨房の片隅にある換気扇の下で一服しようとしていたらしく、手にしていたタバコをポケットへしまう。 「今何時?」 「もう10時。ガキは出歩いちゃいけねぇ時間だよ」 「はいはい、帰りますよー」 「…待て」 大人しく帰ろうとした私に、その手は頭を掴み引き止める。