「トラ!お箸、ある?」 「?箸?一応あるけど…ほら」 「ありがとうっ」 そして手にした黒いお箸を持ち、私は先程のおばあちゃんの元へと戻った。 「すみません、お箸ご利用ですか?」 「…?あら、よくわかったわねぇ」 「あ…はい、何か言いたそうな、でも言いづらそうな顔をしてらっしゃったので」 お年寄りならフォークやナイフでライスを食べるよりお箸の方が食べやすいんじゃないか、と考えついたのだった。