(この人、怖い…) 諦めてくれなさそうなその雰囲気に、戸惑いながら辺りを見渡す。けれど通りがかる人々はこちらをチラリと見て見ぬふりをして歩いて行く。 「じゃ、じゃあ…」 「待って!!」 逃げようとするものの、その手はガシッと私の腕を引っ張った。 「っ…」 細い腕からは想像もできない強い力に、“怖い”その感情だけが込み上げる。 (誰かっ…) その瞬間、その人の手を掴みひねり上げる手。 「!?」 「……」 それはバイト帰りらしい様子の大地で、その目は冷ややかにその人を見る。