ー そして、バイトを終え時刻は夜10時を過ぎた頃。 「お先に失礼しまーす」 「うん、お疲れー」 後の時間帯の人たちに仕事を引継ぎ、私は鞄を持ちコンビニを出た。 今日はトラはラストまでだから…軽くご飯でも作り置きしておこうかな、と考えながら歩き出そうとしたその時 「…あ、あの」 「?」 突然かけられた声に、私はその方向を振り向いた。 そこにいたのは、メガネに黒髪…といったいかにも大人しそうな風貌のスーツを着た男の人。見た目から年齢は恐らくトラと同じくらいかやや下か。