肩を揺らして起こそうとした時、桃谷さんの目が開いた。
「桃谷さん?大丈夫ですか?とても苦しそうで……」
「あ、うん……」
桃谷さんが上半身を起こした。
「夢を見たんだ」
「夢?」
「とても辛くて苦しい夢……」
怖い夢ではなく辛くて苦しい夢。
それは一体、どんな夢なのか。
なぜか、それを聞いたらいけない気がした。
「温かい飲み物でも淹れましょうか?」
「いや、大丈夫。ありがとう。それより早く起きたんだね。今日は土曜日だから学校休みでしょ?ゆっくり寝てていいんだよ?」
「トイレに行きたくて目が覚めちゃって……」
「そうなんだ」
桃谷さんはそう言って、ソファから立ち上がった。


