トイレに行きたくて目が覚めた。
スマホの時計を見ると5時15分前。
寝室を出て、トイレに行こうとした時、リビングから苦しそうな声が聞こえてきた。
私はリビングのドアを静かに開ける。
淡いオレンジ色に包まれたリビング。
ソファに毛布をかけて寝ている桃谷さん。
「桃谷、さん?」
私はソファに近付く。
…………えっ?
桃谷、さん?
ソファに寝ている桃谷さんの顔を覗き込むと、閉じていた目から涙が流れている。
唇を噛み締め、声を殺すように泣いている桃谷さん。
さっき廊下に聞こえていた苦しそうな声は桃谷さんだったんだ。


