「お皿が!ゴ、ゴメン、なさい!」
子猫ちゃんは慌てたようにそう言って、しゃがむと割れた皿を拾おうとした。
「危ないから!俺がするから触らないで!」
上から声をかけたのが失敗だった。
「…………いたっ!」
急に声をかけられて驚いた子猫ちゃんは割れた皿で指を切ってしまった。
「大丈夫?俺が急に声をかけたから、ゴメン……」
俺もその場にしゃがむ。
子猫ちゃんは何も言わずに首を左右に振った。
子猫ちゃんの指からドクドクと血が流れていて、割れた皿の上にポタポタと落ちていく。
痛くて顔を歪める子猫ちゃん。
「大丈夫、です……」
俺は子猫ちゃんの手を取り、切れた指を口に入れた。
目を見開いて俺を見る子猫ちゃん。
口の中に鉄臭い血の味が広がる。
指に舌を這わせていく。
「ちょ……も、桃谷、さん……ダメ……」
子猫ちゃんの声を聞いて背中がゾクゾクする。
これ以上、こんなことしたら……。
俺は口から子猫ちゃんの指を出した。


