「ごちそうさまでした」
子猫ちゃんは2つのケーキを綺麗に平らげ、手を合わせながらそう言った。
「ここは俺が片付けとくから、子猫ちゃんはお風呂に入って来なよ」
俺はそう言って席を立ち、お皿を重ねた。
「私がやるので、桃谷さんが先に入って下さい!」
「ご飯作ってくれたんだしさ。片付けくらいさせてよ?」
俺は重ねた皿を持った。
「でも桃谷さんはお仕事で疲れてるんだし……。それに家事をするのが、ここに置いてもらう条件ですから……」
子猫ちゃんが俺の持っている皿を取ろうした。
子猫ちゃんと俺の指が微かに当たる。
子猫ちゃんの肩がビクンと揺れて、サッと皿から手を離した。
その時……。
俺の手から離れた皿は床に向かって落ちていった。
「あっ……」
咄嗟に手を出し皿を取ろうとしたけど、皿が落ちるスピードの方が早く“ガシャーン”という音と共に皿がバラバラに割れてしまった。