「んー!おいしい〜!」
ケーキを食べると顔が自然と笑顔になる。
スポンジはフワフワで、生クリームは甘過ぎず、イチゴは甘酸っぱくて。
最高に美味しいケーキ。
「喜んでもらえて嬉しいよ」
桃谷さんはモンブランに手を付けず、私の顔を見てニコニコしてる。
「モンブラン、食べないんですか?」
「良かったら、これも食べる?」
「えっ?いいんですか?」
「いいよ」
桃谷さんはモンブランの乗ったお皿を私の方へ差し出した。
モンブランを一口食べる。
「わぁ!これも凄く美味しいです!」
「子猫ちゃんは美味しいそうに食べるね」
「いや、本当に美味しいので!」
「ねぇ、知ってる?」
桃谷さんはテーブルに肘をついて、ニコニコしながらそう聞いてきた。
「な、なんでしょう……」
ケーキを食べる手が止まる。
桃谷さんの頬についた傷を見て今朝のことが頭を過った。


