「ケーキ、食べる?」
「た、食べます!」
「俺、飲み物用意するから、子猫ちゃんはお皿とフォークを用意してくれる?」
「はい」
私は席を立ち、晩ごはんの空になった食器を持ってキッチンに行き、ケーキ皿とフォークを棚から出して、それをダイニングテーブルに置いた。
「紅茶とコーヒー、どっちがいい?」
「紅茶でお願いします」
「了解」
しばらくして、紅茶のいい香りが漂い、桃谷さんがダイニングに戻って来た。
上にフタのついてるガラス筒。
その中で茶葉が舞ってる。
桃谷さんが砂時計をテーブルに置いた。
それをジーと見つめる私。
「珍しい?」
「えっ?」
「ティーサーバー」
このガラス筒の名前はティーサーバーって言うんだ。
「いつもティーパックの紅茶しか飲んだことなくて……」
「そっか。この砂時計の砂が全て落ちて……」
あと少しで砂が全て落ちる。
「よし、落ちた。で、ここを上から押すと……って、やってみる?」
「い、いいんですか?」
「うん」
私はフタの上から出ている棒をゆっくり押した。
ティーサーバーの中に押し込まれていく。
「わわ!凄いです!」
そんな私を見て桃谷さんはクスクス笑う。
「子猫ちゃんは可愛くて見ていて飽きないよ」
そんなこと言われたら私……。
嘘でも凄く嬉しくて、私の胸はドキドキしていた。


