放課後ーー。
「ねぇ、アリス!」
帰る用意をしていた私の背後から杏が抱きついてきた。
「ん?」
「◯◯駅前の商店街にあるケーキ屋さん寄って行かない?」
「ケーキ屋?」
そんなのあったっけ?
「パティスリー ペシェっていうケーキ屋さん」
「あぁ、前にアヤちゃんが言ってたケーキ屋だよね?」
「そそ、そこのパティシエがめっちゃイケメンなんだって!」
って、アナタは溝口先生が好きではなかったの?
「私、今日は用事あるからゴメンね」
「そうなの?残念」
「また今度ね」
「でも今日は一緒に帰れるでしょ?」
「ちょっと寄るとこあるんだ」
私はカバンに教科書からノートを詰めていく。
詰め終わり、椅子から立った。
「ゴメン、先に帰るね」
「うん」
私は杏にそう言って笑顔を見せると教室を出た。


