桃谷さんに言われたように戸締りをして家を出た私は学校に向かっていた。
いつもは最寄駅から電車に乗り、学校の最寄駅で降りて、そこからはバスで学校まで行ってたけど、桃谷さんのマンションからは学校の最寄駅まで徒歩で行けて、そこからバスに乗れば良かった。
電車の定期は無駄になっちゃうけど、バスの定期は無駄にならなくて済んだ。
相変わらずバスの中は人がいっぱいでギュウギュウ。
もう1本遅いバスでも大丈夫かもな。
バスで揺られること約20分。
校門前に止まったバスから降りた時、いつものように開放感があった。
「アリス!おはよう!」
「あ、おはよう」
声をかけてきたのは親友の杏(アン)だった。
杏とは小学校から高校までずっと一緒の大親友。
仲良しLINEグループの1人。
クラスも同じで、私たちはいつも一緒にいた。
杏は担任の溝口(ミゾグチ)先生に恋をしていた。
20代半ばの先生は他の生徒にも人気がある。
いつも校門前に立って爽やかな笑顔で登校してくる生徒たちに挨拶している先生を見る杏は顔を赤くして可愛い。


