「おはようございます!」
10時開店の30分前。
制服に着替えたバイトの真奈ちゃんがキッチンに入って来た。
「おはよう!」
「おはようございます!」
俺と高森くんが挨拶をする。
「オーナー!その頬、どうしたんですか?」
「猫に引っかかれたんだって」
高森くんがそう言ってクスリと笑った。
「猫、飼ってるんですか?」
「昨日、拾ったんだよ」
「そうなんですね〜!」
「うん。あっ!真奈ちゃん、そこのガトーショコラとムースを並べてね」
「はい」
「それから今日のケーキの予約票はボードのとこにあるから黒板よろしく」
「はい」
予約してくれたお客様の名前をイーゼル型の黒板に書いて店の前に置くようにしている。
真奈ちゃんは美大生だから、それは真奈ちゃんの仕事。
オープン当初からバイトに来てくれていた真奈ちゃんの提案で始まった。
真奈ちゃんがバイトが休みの日は、前日の閉店後に書いてくれている。


