それから特に会話もなく、私は流れる景色を見ていた。 お互い自己紹介をするわけでもなくて、彼のことなんか何一つ知らないわけで。 彼も私のことなんか何一つ知らない。 彼から名乗ることもなく、私から名乗ることもない。 どうせ明日には知らない者同士に戻るんだから、それでいいと思っていた。