「車、狭くてゴメンね」
彼はそう言いながら助手席の荷物を取ってくれた。
「いえ……」
「どうぞ?乗って?」
「お、お邪魔します……」
私は助手席に乗り込んだ。
「荷物は足元に置いてね」
膝の上に置いていたボストンバッグとリュックを足元に置いた。
「これ、持っててもらえる?」
彼はそう言って私の膝の上にコンビニの袋とカバンを置いてきた。
助手席のドアを閉めた彼は運転席に回り乗り込む。
“バタン”と閉められたドア。
密室状態。
隣に彼がいる。
密室という空間の中で男性と2人きり。
しかもさっき会ったばかりの名前の知らない人。
私の胸はドキドキと煩かった。