「子供って可愛い?」
杏が海翔の手を握りながらそう聞いてきた。
「うん。やっぱ好きな人の子供だからねぇ。可愛いよ。でもまぁ、可愛いだけじゃなくて大変なことも多いけど」
「そうなんだ」
「今は寝てばかりじゃなくて、よく動くし伝い歩きするし、目が離せなくて」
「私も早く欲しいなぁ」
「香取さん、優しいパパになりそうだよね」
「当たり前じゃん!」
杏が照れたように笑う。
香取さんのこと、本当に大好きなんだね。
ごちそうさま。
その時、悠さんがホールに出て来た。
「アリス、お待たせ!」
「悠さん!」
家にいる時の普段着の悠さんもカッコイイけど、仕事着の時の悠さんはもっとカッコイイ。
つい数時間前に玄関でお見送りしたばかりなのに、会えたのが嬉しくて抱きつきたくなっちゃう。
悠さんがベビーカーに乗っている海翔を抱っこする。
声を上げて喜ぶ海翔。
「海翔〜!会いたかったよ〜!」
悠さんはそう言って、海翔のホッペを自分のホッペを合わせてスリスリする。
そんな姿を見て、恵理子さんも杏も笑う。
私は家で見慣れてるけど、やっぱり悠さんが子供をあやす姿を見るとギャップがあり過ぎて笑ってしまう。
「もちろん、アリスにも会いたかったよ!」
悠さんはそう言って、私のホッペにキスをした。
ちょ、悠さん!
みんなのいる前で恥ずかしいよ。
「着替えて来るから待ってて?」
「う、うん」
悠さんがベビーカーに海翔を座らせる。
「パパ、着替えて来るからね」
海翔にもそう言って、悠さんはロッカールームに入って行った。


