その日の夜、私は桃谷さんに抱かれた。
壊れ物を扱うように優しく。
「もう限界……」
桃谷さんの言った意味が理解出来た私。
未知の世界。
引き裂かれるような痛みが体全体に広がる。
唇をグッと噛み締めた。
「アリス?痛い?」
「だ、大丈夫、です……」
「ゴメンね……」
桃谷さんはそう言って私をギュッと抱きしめる。
「辛かったら言ってね」
桃谷さんの言葉に、私はコクンと頷いた。
眉間にシワを寄せ、苦しそうな顔をしている桃谷さん。
時折、口から漏れる声で胸がキュンとなる。
再び桃谷さんが私の体をギュッと抱きしめる。
私は桃谷さんの背中に手を回した。


