次の日、卒業式を迎えた。
卒業式にはお母さんが来ていて、約4ヶ月振りに会うお母さんは少しやつれてるように見えた。
最後のHRが終わり、みんなで写真を撮ったり、先生と写真を撮ったり。
それからクラスの仲のいい子たちでファミレスに寄って、お昼ご飯を食べて、カラオケに行って、解散したのは夕方だった。
杏と一緒に帰る。
「杏は、4月から大学生だね」
「うん。アリスは明日、桃谷さんの家を出るんだっけ?」
杏には冬休み明けに全て話をした。
「うん」
「明日からどうするの?」
「とりあえず実家に帰ろうと思ってる。明後日は会社の面接もあるし、それが決まれば家を出られるから……。それまでは継父と顔を合わせないように生活するしかないかな。もし決まらなくてもバイトをして早目に家から出られるように頑張るよ」
卒業式が終わり、みんなで教室で写真を撮っている合間にトイレに行き、求人雑誌の赤丸をつけた会社に電話して、一社だけだけど面接の時間を作ってもらえることになった。
もう少し早目に就活すれば良かったと少し後悔していた。
「そうなんだ」
「うん。それが決まれば寮に入れるからね」
「桃谷さんのこと、本当にいいの?」
「何が?」
「好きなんでしょ?」
「好きだから出て行くの」
「そっか……」
杏は少し寂しそうな顔をしていた。
「そんな寂しそうな顔をしないでよ」
私は明るくそう言って、杏の肩を軽く叩きながら笑顔を見せた。


