「あ、あの!」
背後から彼女の声がして、立ち止まり振り向いた。
立ち上がっていた彼女は、さっきの体を丸くした子猫のような感じでなく、背は低いもののバランスの良い体をしていた。
「何?」
俺はそう言ってニッコリ微笑んだ。
「あ、あの!ひ、ひ、一晩だけでいいから、泊めて下さい!」
彼女の言葉に俺は驚きを隠せず、目を見開いた。
彼女もハッとした顔をしている。
ほんの数分前まで全く知らなかった者同士だった。
それが目が合っただけで、ほんの少し話しただけの俺に泊めて欲しいなんて、彼女はそう言ったことに後悔してるんだろう。
しかも女が男に。
でも……。
「いいよ」
俺はそう言って笑顔を見せた。
「へっ?」
マヌケな返事をする彼女。
“いいよ”なんて言われると思ってなかったんだろう。


