今日からキミは俺のペット♡





「桃谷さんのお父さん、金が欲しくて来たわけじゃないって笑って言ってました」


「えっ?」



あ…………。


あの時、仕事から帰って来たらテーブルの上にシワシワの金があって……。



「ただ、悠に会いたかっただけ。と、そうも言ってました。もしかしたら自分がもう長くないとわかっていて、それで後悔しないために……」



だから俺に会いに来たって言うのか?



「桃谷さん、お父さんに会いに行ってあげて下さい。このまま行かなかったら後悔するかもしれませんよ?だから後悔しないためにも会いに行ってあげて下さい」


「アリス……」



アリスの目は潤んでいて、瞬きをすると涙がポロポロと零れ落ちていった。



「喪服、クリーニングに出してたかな?」


「桃谷さん……」



アリスの顔が少しだけ明るくなった。



「随分と長いこと着てないから……。クリーニングに出したかなんて忘れちゃったよ。寝室のクローゼットを見て来るね」



俺はそう言ってアリスの頭を撫でた。



「はい」



返事をしたアリスは微笑む。


俺はリビングを出て寝室に入った。