「アリス?」
桃谷さんがリビングに入って来た。
もう桃谷さんが帰って来る時間になってたんだ。
「アリス、どうしたの?」
桃谷さんはそう言って隣に座ってきた。
「LINEしたんだけど、返事がないから心配になっちゃって。まだ調子悪い?」
私は何も言わずに首を左右に振った。
スマホも杏にLINEしたままで、カバンの中に入れっぱなしで気付かなかった。
「もしかして今日のこと、気にしてるの?」
桃谷さんが私の顔を覗き込むようにしてそう言った。
気にしてると言いたい。
でも言えない。
もし言っちゃったら、私の気持ちが桃谷さんにバレちゃうから。
「桃谷さん……」
「ん?」
「彼女、いたんですね」
私は顔を上げて笑顔で明るくそう言った。
泣きそうになるのを必死に堪えながら。


