杏に会う元気もなく、そのまま桃谷さんのマンションに帰って来た。 杏にはLINEで行けなくなったと送ったけど、本当の事は言えなかった。 静かなリビング。 私はソファの上に体育座りをして、膝を抱えた。 千夏さんの顔が浮かんでくる。 桃谷さんを見ていた笑顔。 多分、千夏さんの気持ちは私と同じ。 桃谷さんが好きなんだ……。 私は桃谷さんの彼女ではないけど、でも複雑な気持ちで胸が“チクチク”と痛かった。