「こらこら、アリスが困ってるだろ?」
桃谷さんはそう言って、私と千夏さんの手を離した。
「千夏はもうホテルに帰りなよ」
千夏さんはホテルに住んでるの?
「まだ帰らないよ。もう少しこの辺を見学してからね。あっ!そうだ!アリスちゃん?」
「えっ?な、なに?」
「この辺、案内してよ!」
「えっ?」
「千夏、いい加減にしろって!」
桃谷さんは千夏さんに少しキツい口調でそう言った。
「何で?いいじゃん」
「あ、あの……ゴメンなさい……私、これから人と会う約束してるから……だから……」
「えー!そうなの?残念」
千夏さんはそう言って寂しそうな顔をした。
「ゴメン、なさい……」
私はそう言って頭を下げて、その場から立ち去るように離れた。
重い足を必死に前に出す。
その場にいたくなかった。


