ホールに出ると、アリスくらいの女の子がショーケースの中のケーキを見ていた。
「お待たせしま、した……」
女の子の横顔を見て顔から笑顔が消える。
何で……。
何で、ここに……。
「悠くん!」
女の子は俺の方に向くと、満面の笑みで俺の名前を叫んだ。
俺の側に来て、思いっきり俺の体に抱きつく。
「千夏(チナツ)……何で……」
「悠くんに会いたかったから来ちゃった」
顔を上げて俺を見る千夏。
千夏の顔は、俺の引きつった顔とは反対に満面の笑み。
俺は真奈ちゃんと恵理子ちゃんの方を見た。
2人は驚いた顔をしている。
そりゃそうだろう。
いきなりアリスじゃない女の子に名前を呼ばれ抱きつかれたんだから。
お客さんがいなくて良かった。


