桃谷さんが車の助手席に座らせてくれた。
「しんどいなら座席倒そうか?」
「大丈夫です」
「本当?」
「はい」
桃谷さんは助手席のドアを閉めて、運転席に乗り込んだ。
エンジンをかけ、駐車場からゆっくり車を出す。
「アリスの家って、その辺?」
「あ、○○町です」
「えっ?そうなの?俺の店の近くじゃん」
「あの商店街、通学路だったんです……」
「へぇ、そうだったんだね。もしかしたら、どこかですれ違ってたかもしれないね」
「そうですね」
車はどんどんとアパートに近付いて行く。
家を出て、1ヶ月ぐらいしか経ってないのに。
随分と帰ってないように思える。
お母さんとは、たまに連絡を取り合ってはいたけど。
「ここからどう行けばいい?」
「あ、そこのコンビニを左折して下さい」
「了解」
桃谷さんの車はコンビニを左折した。


