「桃谷、さん?」
アリスの体の熱が服越しにもわかるくらい伝わってる。
「仕事、行って来るけど大人しく寝てるんだよ?」
「はい……」
「なるべく早く帰って来るから、なんかあったら電話して?」
「はい……」
「ねぇ、アリス?これだけは約束して?」
「何ですか?」
「我慢しないで?辛い時は辛いって言って欲しい」
俺はアリスの頭を優しく撫でた。
アリスの体をそっと離す。
「仕事行って来るから……」
「はい。行ってらっしゃい」
アリスは少し恥ずかしそうに目を伏せて、そう言った。
俺はアリスの体をベッドに寝かせて、布団をかけて頭を撫でると寝室を出た。


