「香取くん?チョコプレート、まだ残ってたよね?」
「はい!」
「お嬢ちゃん?お名前は?」
香取くんから女の子に目を移す。
「雪(ユキ)です!」
「何歳になったの?」
「5歳!」
女の子は小さな手を出して指をいっぱいに広げながらそう言った。
俺はショーケースの裏に回り、そこからイチゴのケーキをひとつトレイに乗せると、キッチンに入った。
冷蔵庫からホワイトチョコのプレートとチョコクリームを取り出して、それに『おたんじょうび おめでとう ゆきちゃん』と全て平仮名で書いた。
それをイチゴのケーキに乗せる。
「恵理子ちゃん!」
キッチンからホールにいる恵理子ちゃんを呼んだ。


