店に戻り、ロッカールームでコックコートを着てキッチンに入る。
高森くんは俺をチラチラ見るけど、何も話そうとしない。
「香取くんが戻って来たら休憩入って?」
「あ、は、はい!」
なんか、この店に来たばかりの頃の高森くんみたい。
「ねぇ、高森くん?」
「な、何ですか?」
「さっきはゴメン……」
「えっ?いや、あの……」
オドオドした高森くんは何か可愛い。
「高森くんは彼女、いるの?」
「えっ?」
高森くんの果物を切っていた手が止まった。
「あ、いや、いるのかなぁ?って思って」
「い、いないです……もう3年いないです……」
「そうなんだ。彼女、欲しい?」
「そりゃあ、欲しいですけど、なかなか……」
高森くんは苦笑いする。
その時、香取くんが帰って来た。
手には、あの紙袋を持ってる。
と、なぜかコンビニ袋も。
随分と早く帰って来たなぁ。
お昼、コンビニで買わずに杏ちゃんと一緒に食べてくれば良かったのに。


