「今日、この子の誕生日だったんですが、仕事が忙しくてケーキを予約する時間がなくて……。こちらが20時までやってると聞いたので来てみたんですが……」
女性は凄く申し訳なさそうな顔をしてそう言った。
「お嬢ちゃん?ケーキ好き?」
俺はショーケースの前にいる女の子の隣に行き、女の子の目線に合わせてしゃがんでそう言った。
「うん!イチゴのケーキが好き!」
女の子は顔を上げて、キラキラした目でそう言って、またすぐにショーケースの中のケーキに目を移した。
俺は立ち上がり、女性の方に向き直す。
「あいにくホールケーキが売り切れてしまいまして、残ってるのがこれだけしかないのですが……それでも宜しければ……」
「いいんですか?ホールケーキじゃなくても大丈夫です」
女性はそう言って頭をペコリと下げた。
「お嬢ちゃん?このイチゴのケーキがいい?」
再びショーケースに張り付いている女の子と同じ目線までしゃがんだ。
「うん!このイチゴのケーキがいい!」
「よしっ!」
俺は女の子にそう言って、頭を撫でると立ち上がった。


