「あの!」
私は桃谷さんのお父さんの背中に声をかけた。
「ん?」
振り向き私を見る。
「また、桃谷さんに会いに来て下さい!」
私はそう言うと、桃谷さんのお父さんは優しい笑顔を見せた。
その目には涙が溜まっていて、ポロポロと大粒の涙が頬を伝う。
「桃谷さんは確かに、あなたの事を恨んでます。憎いと言ってました。でもいつか分かり合う日が来ますよ。きっと……だから……」
「ありがとう」
桃谷さんのお父さんはそう言って涙を流しながら笑った。
そして、私に背を向けると駐車場から出て行ってしまった。
メニュー