お金を拾う桃谷さんのお父さん。
それを手伝う私。
このまま桃谷さんのお父さんの前から立ち去る事が出来なかった。
「君は悠の彼女?」
そう聞いてきた桃谷さんのお父さんは、さっきとは違う穏やかな口調で、優しい顔をしていた。
「いえ……。今ある事情で桃谷さんの部屋に住まわせてもらってます」
「そう……。なんかみっともないとこ見せちゃったね」
桃谷さんのお父さんはそう言って恥ずかしそうに笑った。
「いえ……」
「悠の言う通り、俺はあいつに何も父親らしい事してきてやれなかった」
桃谷さんのお父さんは力なく笑った。
「今更、後悔しても遅いけど」
私は黙ったまま桃谷さんのお父さんの話を聞いていた。
「別に金が欲しくて会いに来たわけじゃないんだ」
確かに身なりは凄くキチンとしていてお金に困ってるようには見えない。
「ただ、悠に会いたかっただけ……」
桃谷さんのお父さんは呟くようにそう言って立ち上がった。
私も立ち上がる。
「これ、悠に返しといてね。それから悠のことよろしくお願いします」
桃谷さんのお父さんは手に持ったお金を私に渡し、そう言って頭を下げると、駐車場から出て行こうとした。


