桃谷さんはコートのポケットから財布を出し、その中から、お札を何枚か出すと、お父さんに向かって投げつけた。 床に散らばるお札。 「それやるから、さっさと失せろ!俺の前に二度と現れるな!」 桃谷さんはそう言って、私の手を振り解く。 お札を拾うお父さんを氷のような冷たい目で見下ろしていた。 そして何も言わず、私の横を通り過ぎて車に乗ると、そのまま駐車場を出て行ってしまった。