平日の夕方。
ショッピングモールの中は人で溢れていた。
「凄い人ですね」
「そうだね」
俺はそう言ってアリスの手を握る。
アリスが顔を上げて俺を見た。
図書館で見せた顔と同じ。
ビックリした顔をしている。
「迷子になったらいけないから」
そう言って笑ったけど、本当はアリスと手を繋いで歩きたかったんだよ。
少し照れたように笑うキミが可愛くて、もっと照れた顔が見たくて、俺はアリスの指に自分の指を絡ませた。
恋人繋ぎってやつ?
「まずは、どこ行こうか?」
「あの……」
「ん?」
「お願いが、あるんですけど……」
お願い?
何だろう……。
アリスのお願いは何でも叶えてあげるよ。


