「あっ!ダメ!」
冷蔵庫を開けた俺に気付いたアリスはそう言ったけど遅かったね。
「あぁ……」
アリスはその場にペタンと座る。
「えっ?これ……」
俺は冷蔵庫の中にあったものを見て目を見開いた。
そこには真っ白なクリームでデコレーションされたホールケーキがあったから。
起きた時にした甘い香りはこれだったんだ。
正直、あまり上手とは言えないデコレーション。
それはアリスが作ったものだとわかる。
「あのケーキはアリスが作ったの?」
俺は冷蔵庫を閉めて、アリスと同じようにその場にしゃがみ、目線を同じにしてそう聞いた。
少し項垂れていたアリスはコクリと頷いた。